あなたは、ブラックホールと聞いてどのようなイメージを持つだろうか?
一般的な認識としては、非常に高密度で大質量、そして強力な重力のために物質だけでは
なく光までも吸収してしまう天体のことだ。
これは私の友人の考え方なのだが、彼曰く「正に女性はブラックホールそのものだ」と真剣な
顔をして私に話した事をいま思い出した。
彼に何があったかは想像に難くないが何となくうなずく方もいるかもしれない。(失笑)
冗談はさておき、今回のお話はもしかすると人類がブラックホールを作り出してしまうかもし
れない!?・・・というお話だ。
中止の訴訟が出された実験とは?
そんな実験が密かに行われている事をご存じだっただろうか?
そして、その実験があまりにも危険すぎると実験の中止を求める訴訟が行わてたという。
その実験名は、「LHC実験」といい、LHCは「Large Hadron Collider」の略になる。
まだよく理解できない方(ほぼ全員か?)の為に日本名も記しておこう。
日本語では「大型ハドロン衝突型加速器」と略されている。(それでも分かりづらい!)
この実験をめぐって2008年3月にハワイ州地方裁判所に訴訟が提出された。
訴訟を起こしたのは、ウォルター・ワグナーといいアメリカ政府の原子力保安検査官を
務めた人だったことの意味するところが大きいのだ。
訴訟の内容としては、「LHC装置の運用禁止」を求めるものであった。
ワグナー氏に言わせると、LHCの実験によって、極小規模ではあるがブラックホールが
不用意に作りだされる可能性があり、それによって災害が引き起こされる可能性があり
きわめて危険すぎると主張した。
そして、第三者機関によってその装置の安全が確認できるまでは使用を禁止すべきだと
唱えたのだ。
実際に「LHC実験」が開始されたのは、訴訟が提出された後、同年9月であった。
つまり実験開始前より専門的立場から危険であると警笛を鳴らしたわけだ。
ブラックホールの持つ意味は?
では、何故それほどまでに実験の中止を彼は望んだのだろうか?
LHCは、世界最大規模の衝突型円形加速器であり、さらに粒子加速器としては最大
級の高いエネルギー反応を起こす事ができるという。
そのため、さまざまな高エネルギー物理実験が可能となることから宇宙の誕生の瞬間
などの物理学で最も大きな謎の解明が出来るのでは?と期待されていたのである。
そして、ここからが最大の問題なのだが、LHCを用いた実験をする際に放出される巨大な
エネルギーによって、ブラックホールが生成されてしまうと言う事なのだ。
先にも述べた通り、ブラックホールは端的に言えば「星の崩壊」ともいえる。
光までも吸収してしまい、決して脱出できないのだ。
つまり光以上のスピードでなければ脱出不可能というのだが、現段階では光以上のスピ
ードを持つものは存在しないという説が常識なので宇宙に存在する全てのものが脱出不
可能という事になってしまう。
ブラックホールは永久には存在しない
ここで、一つお話しをしておかねばならない。
全てのものを飲み込んでしまう恐ろしいブラックホールだが、実際には永久に存在して
いる訳ではなく、時期が来ると蒸発してしまう。
これは、かの有名なホーキング博士(理論物理学者)によって1974年に唱えられた。
内容は、「全てのものを飲み込んでしまうブラックホールも内部では、量子論的な事象が
起きて粒子が放出され、そのために質量が減りやがては蒸発する」というものであった。
これは「ホーキング放射」という名で知られているのだ。
また、LHC実験についても確かに高エネルギー実験は可能なのだが、それは粒子加速器
としては高エネルギー実験が可能なだけであってそのエネルギーはわずかに2匹の蚊がぶつ
かったときのものにしか過ぎないそうだ。
結局のところ
結局のところ、冒頭で読者の皆さんを過大に驚かせてしまった感があるのだが、実際に人類
が行う実験程度では、自然界と比較したら極々些細な結果しか出せない訳で、現段階では
裁判をしてまで中止を争うほどのことはなかったということの様だ。
しかし、あくなき追及を求めて日夜実験に挑む科学者がいつ何時考えも付かないことを成し
遂げるかは未知数であり、ほんのわずかな出来事とはいえその日が来る可能性があるのであ
れば、しっかりとした倫理観をもつ常識的な科学者が人類の為という錦の旗のもと、未来に
繋がる実験をして欲しいと心から願ってやまないのだ。
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