供養のための線香がなぜか漂うはずもないところで匂っている。
私はその時全身に戦慄が走るような怪奇現象を体験したのだ。
今もこの記事を投稿していて背筋が寒くなる思いをしている。
あれは、4年ほど前のことだった。
当時夫婦で仲良くさせて頂いていたお宅での出来事である。
あちらの奥さんと私が中学の同級生という事もあり、また住まいも近く自治会活動でも
時折ご一緒することが多かったので自然と相談事にも載って頂くようなお付きあいが始ま
った。
あれは暑さが厳しくなった8月のある日のこと、彼女からご主人が体調を崩して病院で検査
する事になったと聞いた。
それから、10日ほどたった時、ご主人は末期の膵臓癌との診断ですでに入院している事が
分かった。
そんな電話がかかってきて私もなんて声をかけて良いやら言葉を濁して事情を聞いていたの
だが、何故かその時電話口あたりからあるはずもない線香のにおいがかすかに漂ってきたのを
感じたのだ。
「おやっ」と不思議な感覚に襲われた事は覚えているが、奥さんのうろたえた様子が電話の先
から感じられ、そのことが気になっていてそれほど違和感というものは感じなかった。
ところが数日後、ご主人の容態が気にかかり妻と二人で彼女を訪ねたときの事だった。
その彼女自身からまたあの時と同じ線香の香りがどこからともなく漂ってくるではないか。
「ご主人の事が心配で、毎日仏壇に手を合わせているのかい?」と訪ねてみたのです。
「えっ」と思わず彼女は怪訝な顔をしながら、家には仏壇がなく線香など焚いたことなどない
というではありませんか?
では、私の感じたあの線香のような香りは何だったのか?
憔悴している彼女を見ているとそんなことを考えてはいけないと自分に言い聞かせ、なるべく
気にしないようにしていました。
しかし、その後も彼女を訪ねたり電話で話をする度にあのお線香の香りが徐々に強く感じる
ようになって来た。
うちの妻にもそれとなく訪ねてみたのですが、あまりそのような事は気にならなかったと言う
のです。
私が気にしすぎなのか?とも思いましたが、何やら嫌な予感がしたので、知り合いの友人に
占いが趣味の方がいるとの事を聞き、少し尋ねてもらったのです。
その方が言うには、「死人の相となぜか9という数字」が出ているという言うではありません
か?
占いですから、何故?と思ったところで理由などはないのでしょうが、その時私の中ではハッ
キリとご主人は9月19日に亡くなる!と直感したことを今でも鮮明に思い出します。
実際そのご主人は、入院後約ひと月した9月19日、午後9時39分に永眠したのでした。
バタバタとお葬式が終わり、アッという間に49日が過ぎたころです。
ようやく落ち着きを取り戻しただろうと、思い切って彼女を訪ねてみました。
そして、お悔やみを言い、なんとか慣れない言葉で慰めたり、励ましたりした後思い切って
占いの話や、電話口で匂ったお線香の話をしてみたのです。
その時でした。
あの時に匂ったお線香の香りが私たち二人を囲うように漂ってくるではありませんか?
彼女もその時ばかりは、私と同じように匂いを感じた様子を見て思わずドキっとしたの
でした。
お互い顔を見合わせ、悪寒が走ったのを感じたのです。
この話は今だから落ち着いて話せるのですが、その時起こった怪奇現象ともいえる体験は
とても他人に話す事など到底できなかったのです。
気になる事に、こうして当時を思い返しながら筆をとっているこの瞬間にかすかにあの匂いが
漂っています。
私の家にも仏壇も線香もないというのに・・・・
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