この世を恨んで死んでいった霊には、祟りとなって死の原因を作った人に降りかかる、
そんなオゾマシイ話を良く見聞きする。
私は、元来その手の話は信用しない性質(たち)だが、今回のお話は?と考えさせられた。
私の古くからの友人から聞いた話なのだが、今から30数年程前にその友人の叔父さん宅
で起きた実話だというのです。
当時、その叔父さん一家は、長野県の上田市郊外に住んでいたのですが、その友人も叔父
さん宅から歩いて数分のところに暮らしていた。
その叔父さん宅は夫婦と息子、つまり友人の従弟夫婦と二世帯で住んでいたようです。
その従弟の奥さんは、誰からも好かれ叔母さんにも献身的に尽くす良くできた嫁として
近所でも評判だったようです。
ところが、何が気に食わないのか叔母さんはちょっとした嫁のふるまい一つにも何だかんだ
とケチをつけ、事あるごとに嫁に訳もなく当たり散らしていたらしい。
今ならさっさと別居するなり離婚するなりしてしまいそうな事をその嫁はじっと耐えていた
と言います。
その上、気の弱い叔父さんは常に叔母さんの尻に敷かれていて嫁さんをかばってあげる事も
出来ずにいたのです。
当の旦那であるその従弟も、根っからのマザコン息子で母親の言われるままで嫁の味方など
もっての外だったらしいのです。
とある年の12月、寒い日だったのですが、例によって些細なことからいびられた嫁が翌日
の朝、ひょっと家を出た切り夜になっても帰ってきません。
どんなにいびられても我慢強く耐えていたあの嫁だったのですが、その日に限っては行方も
全くつかめず従弟も叔父さんも途方に暮れていたのです。
あちこち探して電話なども心当たりにかけてもみましたが、さっぱり分からず不安が募る
ばかりでしたが、かえって叔母さんはサッパリしたようにさえ見えたのでした。
ところが、嫁が失踪してから3日目の朝の事です。
嫁さんの両親が血相を変えて訪ねて来まして「昨夜悪夢を見ました。ずぶぬれの娘が、何か
私に言いたげに大声で叫んでいる気味の悪い夢を見てうなされました。 何か嫌な事があった
のではないかと不安で仕方がありません。」と話し、すぐに警察に捜索願いを出して欲しい
と叔父夫婦に訴えかけたのです。
しかし、そんな様子を見ても叔母さんはまともに取り合わなかったのですが、そんな折警察よ
り連絡が入り、近くのため池で水死体が発見されて近くに止めてあった車からお嫁さんではな
いかと問い合わせが入ったのです。
どうやら、さすがのお嫁さんも姑の嫁いびりに耐えかねての自殺だったようなのです。
それでも、姑の叔母さんは冷ややかな目で死体を見るだけで「近所に変な噂を立てられる」と
周りを気にするばかりだったのです。
そんな中で通夜はしめやかに行われひとしきり通夜客が訪れた後、ようやく親族だけが残り
雑談をしていた時の事です。
台所から誰かの「キャアッ!」という悲鳴が起こり、慌てて駆けつけると・・・なんと全身
ズブ濡れのお嫁さんが勝手口付近に立っていたのです!!
何人もの人が目撃して呆然としている中で、叔母さんだけが気丈にも「さっさと出ていけ!
この恥さらしが!」と罵声を浴びせたというのです。
お嫁さんの霊は、寂しそうな眼差しで私たちを横目で見ながらスーッとその場から消えて
行ったのでした。
翌日の葬式の時の事です。
お焼香の為の線香やロウソクが何度火をつけようとしてもなかなか火がつかず、ついたと
してもすぐに消えてしまうという不思議な出来事が起こりました。
にわかには信じがたい話なのですが、異変が起こったのはそれから間もなくの事でした。
叔父さん家族に次々と不幸が起こり始めたのです。
初めに火事をおこして叔母の大やけどをおったのを皮切りにし、次には叔父さんの風呂場での
入浴中の溺死、そして従弟の自殺をしてい、大けがを負った叔母も闘病中に脳梗塞を起こして
亡くなってしまったのです。
なんとお嫁さんが亡くなってからわずか数年のうちに、叔父さん一家は3人すべてが亡くなる
という痛ましい結果となってしまったのです。
これがお嫁さんの祟りかどおかは定かではありませんが、本当に奇妙な出来事であった事は
確かな様でした。
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、合掌・・・・
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